レールを外れてもまだ生きる - コロポンのブログ

派遣OL、ベンチャー企業取締役になる。二児の母。ふつうの会社員にはなれなかった人のつぶやき。

話題の「ティール組織」読んだけど、やる気が出ない

社長が最近、新興宗教覚えたてのように「ティール組織」「ティール組織」言うものだから、大した興味はなかったけれど重い腰を上げて読んでみた。

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

組織論、嫌いじゃなくていろいろ読んだことはある。
でもいま私、お腹に子どもを抱えている身でして、どちらかというと
「組織"論"とかいう論理はどうでもいいから、いま、私がもっと快適に生きられたらなんでもいいんです」
というモードに突入していて、なかなか読む気にならなかった。

それでも読んだのには理由があって。

読んだ理由とわたしのスペック

仕事のやる気が出ないのを、解決したい。

それが理由です。
やる気が出ない理由はなんとなくはわかってまして。

妊娠中のためいろんなチャレンジがしにくい、ということから端を発してかなり悪い螺旋階段を下ってる気分です。

今の仕事がイマイチだからって新しいことはじめたいと言っても、あと2ヶ月で産休。そして体調がぜんぜん安定しなくて期限のある仕事を引き受けにくいから極力避けてる。というわけで大事な仕事や大きな仕事はなく、話すのもはばかられるような単純作業に興じる毎日を送っている昨今。こんなことに1日8時間費やしてる自分が情けなくて、なんとか現状変えたいけど、変えようという余力はない。ただただむなしい。

いっそ仕事辞めたいって妊娠初期のころから言ってるけど、でも産休→育休コンボに代えられるものはなく、あと2ヶ月耐え忍ぶしかないなーって思ってる。

耐え忍ぶっていうのは精神衛生上は大変よろしくない。この状況を端的にいうと、やる気が出ない、ってことかなと。

上記を踏まえまして、以下私のスペックです。
・アラサー女
・ベンチャー企業勤務(ベンチャーという定義はよくわからないけど、そう自称してる)
・社長含めだいたい4人くらいで会社回してる

こんな人間ですけど、すごいざざーっと興味のあるところだけとりあえずすくって読みました、「ティール組織」。

「ティール組織」って性善説→やる気のない人間はどうしたらいいの

結局「ティール組織」は、こちらの「ティール組織とは?3つのエッセンスの基本を実務的に丁寧に解説!」を引用させていただくと

「社長や上司がマイクロマネジメントをしなくても、組織の目的実現に向けて進むことが出来ている、独自の工夫に溢れた組織」

というわけでして。
これって結局、やる気がない(やる気を出す余力がない)人間は、いったいどうしたらいいんでしょう。

「ティール組織」の特徴

「ティール組織」の特徴は以下の3つだ、って書評で表現してくれている方を見かけて、すごくわかりやすい書評だったので引用させていただきます。

・セルフマネジメント (自主経営)
・ホールネス (全体性)
・存在目的

簡単に言いますと、セルフマネジメントというのは「ある程度決定権を持っていろいろやる・やれる」こと。私が読んだ組織論的な本で言えば、マッキンゼーの採用について書かれてたあの「採用基準」の組織に近い印象。

ホールネスは「会社で仮面をかぶることなく自分らしくいられるか」というかんじ。
存在目的は「会社のステートメントやミッションに対して自分として自分らしく、どう貢献できるか」みたいなかんじ?
詳しくはこちらの記事が頑張って解説しているけど、正直、本を読んだあとじゃないとあんまり理解できなかった。

やる気のない人間はどうするか

人間誰しも仕事にやる気を出せないタイミングがある。家庭のこと、体調のこと、などなど。
そういうのもひっくるめて会社に出社する(ホールネス)。
そしたら組織としては、たぶん「お互い様」というわけで、カバーしてくれたりするんだと思う。ティール組織の考え方であれば。私が産休明けに活躍してくれるはずだということを期待して。

ただ私が解決したかったのは、いま現時点のこの行き詰まり感なんだけど、それは結局時間経過でしか解決できないってことなんだろうか。
たぶんティール組織であれば、そういうのも仲間に助言を求めてもらったほうが良いってことになるんだろうけど。波風立てたくないという気持ちのほうが強くて。

健康にも家庭にも問題ないけど別に仕事そんなに頑張りたくないんですが、という人にとっては酷な理論な気はする。
でもそんな人さえやる気が勝手に出ちゃうような組織を作れたらまあ最高だとは思います。でもすんごい性善説だな。世の中そういうふうになっていけばいいけど、そんな世界に染まったらそれはそれで眩しすぎて住みづらいかもしれない。

ベンチャー企業と「ティール組織」

せっかくなので、ベンチャー社員として、この本読んだ感想をつらつらと。

うちみたいな小さい組織ではすでにほぼ「ティール組織」のところが多いのでは

現在主要メンバー4人っていうミニマムな会社なので、放っておいてもだいたいティール組織になってる気がする。
この本がインパクトあるのは、大企業でも適用できるぞ!と言ってるところなんじゃないかなあと。

そもそも「会社の存在目的」がよくわからない

ベンチャーとして一番難しいのは、これではないかと。
まだほとんど社会的に認知もされてなくて、誰かの役に立ってる感とかまだ事業的には出せてないという状態の時に一番露頭に迷いそうなのは「会社の存在目的がわからん」ということ。

正直なところ、私は露頭に迷ってる。
一応ビジョンだったかミッションだったかのステートメントは会社にはあるし、それ自体の意味は理解してる。
けど、結局ざっくりいうと「社会が良くなりますよーに」としか言ってないような気もして、じゃあ具体的にどうやって行動したらいいのかっていうのが全然浮かんでこない。

そして更に自分の手をぢっと見ると、今やってる仕事が本当に社会のためになっているかさえわからない。むなしい。

鍛えられたティール社員だときっと「これは会社のステートメントにも反しているし、自分の存在目的にもマッチしてない、なんとかしなきゃ」ってなるんだろうけど。
ここでまた、やる気のない人間という現実問題にぶち当たり、「仕方ない」の一言で現状に目をつぶって黙々と作業して疲弊していくといういまの自分に着地する。

なんとかすればいいのにね。自分。でも変化を望むっていうのは勇気と、そして精神的・肉体的余裕が要るのよね。

自分の存在目的もわからないと、自然と辞めていくのがティールの摂理らしい

そういう自分の体調問題もあって、いま、組織であんまり頼られたりしなくなってしまって、いよいよ自分の存在目的というのがわからなくなってきた今ですが。
ティール組織では、そういう存在目的がわからなくなった人たちは自然と辞めていくもののようで。
そういう意味ではうちはかなりティール組織だと思います。
それ自体はどうこう言うつもりはないし、それもこれも自分の選んだ人生のせいなので、仕方ない。仕方ない。仕方ない、っていうことばが最近の私の呪文です。

個人的に一番おもしろかったのは「企業も競争してはいけない」という論理

話変えますが、この本で個人的に一番刺さったのは、「企業も競争しない」ということ。
競争や合理化の論理で言えば、すべて機械的に進めたほうが効率はいいはず、だけど、相手は結局人間だから、そんな単純じゃない。CSRの意義とかに通じるものがあると思う。安くて早いけどめっちゃ環境汚染してる、とかは全然歓迎されないしむしろ今後はより嫌われていって、結局利益も出ない。そういう大量生産の時代は終わって、「本当にいいもの」を提供するいい会社が生き残る、という話だと解釈しました。

薄々そういう世の中になっているということには気づいてたけど、やっぱりそうだよね、という確信が持てました。
いいもの作ろう、って素直に思えて幸せになりました。

というわけでいろいろ考えを深めることができたので、読んで良かったとは思います。
うちの会社でもうちょっと深く適応するなら、まずは会社の存在目的を本当に突き詰めて、それで各々いま何をすべきか・何をしたいかをもう一度考え直したほうがいいんじゃないかなと思います。

そして私のやる気問題は、自分だけではもう解決しようがないという残念な結論を導き出してしまったので、折を見て相談するか、そんな元気もないときは黙って産休突入するまで修行僧してます。

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現