いつまで「未熟」なのか。そして『リーン・スタートアップ』を読んだ
年末に、新卒で入社した会社の同僚のみなさまと忘年会をしまして。
みなさまにお会いしたのは私にとっては約3年ぶり。
あの頃はああだったよね、とか、髪の毛の後退具合の話なんかしたりして、他愛も無いかんじで終わるのかなと思ったのだけれど。
その忘年会の最中に出たある話題が、ずっと脳裏に焼き付いて離れない、年明けの今日このごろ。
当時社会人1年目で、アプリ開発のことなんてほとんどわからないひよっこだった私。
ゲーム開発のいろはを手取り足取り教えてもらいながら、なんとか足掻く毎日。
当時、iPhone3GSが出たばっかりで、AppStoreにはタッチザナンバーズなんかが君臨してた頃。
iPhoneアプリを作ったことがある人は部署内にも1人しかいなくて、その先輩にみっちり教えてもらいつつ、自分でもなんとか勉強しようと英語で書かれたサイトを漁ったりなんかしてた。
私はその時iPhoneアプリを作っていたのだけれど、その先輩はいわゆる「プラットフォームを構築する」と言えるレベルの大きなプロジェクトを引っ張ってた。日本のiPhone市場には強大なプラットフォーマーなんていなかったから、かなり尖ったプロジェクトだったと思う。
でも、大きくなりすぎたプロジェクトというのは、往々にして頓挫する。
そのプロジェクトも、紆余曲折はあったものの頓挫してしまった。
そんな状況を横目で見てた。解体してゆくプロジェクトを、ただただ見ているしかできなかった。
「あの時、どうすれば良かったと思う?」
その忘年会で、当時の話がぽろりと出て、その先輩にそんなことを聞かれた。
はっ、とした。
もうあれは、私にはどうしようもないプロジェクトだと思っていたし、何より私は新人だし未熟だし、私になんて何もできないと思っていたから。
私は、
「未熟でした…」
と答えるしかできなかった。
先輩は、こう言っていた。
「せっかくチャレンジできる環境を部長が整えてくれてたんやから、俺達がもっと「こんなんできまっせ!」っていうビジョンを描くべきだったんや」
私は、いつまで「未熟だ」という理由で逃げ続けるのだろう、だなんて思い始めまして。
今いるベンチャー企業でも、未熟だという理由で失敗して、それを「未熟だったから仕方ないなー」、だなんて思うのだろうか、と。
せっかくチャレンジできる環境があるんだから、全力を尽くしてビジョンを描かないとな、とか。
それで年末の帰省中、その言葉を反芻しながら、スタートアップに最適な開発ってなんだろうとか思考を巡らせたりググったりあるいはググったりして、「ああそう言えば読んだことなかったわ」と、やっとこさ読みましたとさ。
リーン・スタートアップ。
- 作者: エリック・リース,伊藤穣一(MITメディアラボ所長),井口耕二
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2012/04/12
- メディア: 単行本
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自分が未熟だ、という観念がどうしても拭えない私でも、この考え方があればやっていけそうな気がしてくる。
勇気を与えてくれる、ちょっとこわい本。
「何を作るか」より、「何を作らないか」。
とにかく最低機能の製品を小さく小さく何度もリリースして、顧客から学習してサイクルを回す…あれ、こんなことなら、私にもできそう、だなんて。
自分は未熟だ、自分にはできない、ってどこかで決めつけていた考えを捨てて、目の前の課題に真摯に取り組もう、とかそういう崇高な思いを描くようになりました。
やれることやってみる。
新年ですし、そういうフレッシュな気持ちでお届けしています。